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2016.1.29個人事業と法人、どちらを選ぶ?

起業を考える際、個人企業としてやっていくのかはたまた法人形態を採るのか、大きな決断をしなければなりません。それぞれのメリット・デメリットをしっかり理解したうえで、慎重に選択してください。

~個人事業主と法人の主な違い~

1.設立費用
個人事業の場合、定款の作成も商業登記も不要。法人の場合はそれらが必要で、およそ25万~40万円ほどの費用がかかります。

2.事業内容
事業をすすめる中で事業内容に追加がある場合、設立時に設定した定款の変更・登記手続きをしなければなりません。個人事業の場合は定款がありませんので不要です。

3.経理
個人事業の場合、所得税の確定申告をする必要がありますが、パソコンと会計ソフトで処理できるレベルです。法人の場合、年1回の決算が義務付けられており、経理処理が複雑なため、費用はかかりますが経理は税理士に頼んで自分の仕事に集中されるのがベストですが、経営者として自社の損益計算書(P/L)・貸借対照表(B/S)を読める経理の知識は必要です。

4.経営者の給与
個人事業主の場合、収入から必要経費を引いたものが所得となり、この金額を基に所得税を算出することになります。一方、法人の場合は役員報酬として経費にすることができるため、一定規模以上の課税所得が出ている場合には節税効果が高くなります。

5.欠損金(赤字)の繰越控除
赤字が生じた場合に将来の黒字と相殺出来る「欠損金の繰越控除」が可能な期間は、個人事業が3年なのに対し、法人は現行9年(平成27年度税制改正により平成29年4月以降は10年に延長)と優遇されています。

6.交際費
個人事業では、業務遂行上必要なものについては制限なく必要経費として計上することができます。一方、法人の場合は損金算入(経費計上)可能な限度額に制限があり、資本金1億円以下なら800万円/年まで、資本金が1億円を超える場合は全額経費計上不可(但し、飲食費は50%損金処理可)となります。

7.社会保険への加入
個人事業であれば国民健康保険と国民年金に加入することになりますが、法人の場合は社会保険への加入が義務づけられます。社会保険料は会社と本人で折半しますので、従業員が多くなるほど社会保険料に係る会社の負担は大きくなります。

8.社会的信用
個人事業は法人化するよりも簡単に事業を始められる半面、社会的信用が得られにくい傾向があります。また、個人事業主とは取引をしない企業もありますので、事業内容が主に法人を相手にするものであれば法人化した方がメリットが多くなります。
金融機関からの融資が必要な場合、個人では保証人を要求されるなど、融資を受けることが難しいことが多いようです。比べて法人の場合は、個人に比べ厳格な経理処理が求められるため、金融機関から見た一般的な信用度が高くなります。

細かな点はまだまだありますが、上記が個人事業と法人の主な違いです。
主に税務面を考慮して「ある一定以上の利益が出るなら法人化が得」との考えも一般的ですが、事業をスムーズに進める上での対外的な信用等も考慮したうえで、適切に判断する必要があるのではないでしょうか。

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